外で飲む若者の減少
34歳、夢なし、趣味なし、希望なし。
昨日、10年程前によく通っていた居酒屋に行った。
古民家風な造りのオシャレな店だが、店員さんも気さくでアットホームな場所。
カウンターが5席、4人掛けのイスに7〜8テーブル設置されている広すぎず狭すぎずのキャパ。
ビールも1杯380円(僕が通っていた頃は350円だったような気がする)、食事メニューも刺身に唐揚げやスペアリブ、豆腐サラダ等々家庭料理っぽい雰囲気。
会社という社会的繋がり以外の場所が欲しい僕には家に帰る気分で入れる落ち着く場所だった。
現在は料理を作るマスター1人にオーナーの女性が1人、あとは大学生のアルバイトで店を切り盛りしているらしい。
あ、近所に歩いて15分ぐらいのとこに大学がある。
2年間ぐらいかな、あの頃は週3〜4は通っていた。
空いていると決まってカウンターの1番左から2番目の位置に座り、ビールを淡々と飲むのがそこでの食事スタイルだった。
僕が20台半ば、カウンターに座る客の年齢層も同年代が多かった。
今思えば「そこに行くと誰かがいる」と言ったようなドラマ「オレンジデイズ」状態だった気がする。
そのカウンターのお客さん同士でカップルが誕生したり、はたまた結婚した人達もいる。
こんな僕でもそのカウンターで彼女ができた事もある。
今でもたまにネタにされるが。
転勤になってあの頃ほど頻繁に行くことはなくなったが、今でも2、3ヶ月に1回ぐらいのペースで寄らせていただく。
昨日は割と店も空いていて、マスターやオーナーと話す機会が多かった。
独身でフラフラしている僕にマスターがプチ説教をしたのは言うまでもない。
カウンターも埋まり、盛り上がり始めた頃、ふと気になった。
そう言えば僕がよく出入りしていた頃に比べると、メッキリ20代の若者を見なくなったなと。
「マスター、最近って僕がよく来ていた頃に比べて若い子達って来ないんですか?」
と聞くとマスターは、
「最近の子達はこういうとこに飲みに行かないみたいやぞ。大体宅飲み、もしくは安いチェーン店で飲むんじゃないかな。お金払って美味しいものを食べたいとかそういった発想も少なくなってきとるんとちゃうか。ここのカウンターも大体おじさんばかりになったわ。」
自分の店だけかと思い、他のお店でも見たり聞いたりしてみると、どうやら同じらしい。
すごい稀にいても、1人でスマホをイジって自分の世界に入る事が多いようだ。
そう、確実に時代は変わっている。
「お店に行き、カウンターに座り、店員さんと話をしながら飲む」
というスタイルでお酒を飲む若者は確実に減っているようだ。
スマホが普及し、それに伴いSNSもスタンダードなものとなった。
どこにいても誰かと繋がれるような今の世の中では、リアルなコミュニケーションはオマケのようなものになりつつある。
それによりコミュニケーション能力が低い若者が増える。
苦手な事はしたくないものだ。
よって知らない人とは喋らない。
もし彼女や彼氏が欲しいと思っても、今の世の中マッチングアプリを使えばお互い共通の興味を持った相手と手軽に知り合える。
言い過ぎかもしれないが、スマホという端末一つで色んな事が合理的に解決しやすくなっている。
お店のカウンターに若者達が来なくなるのも理にかなっているではないか。
必ずしも外に出て人と交流することが正義だとは思わない。
お金という生きていく上で大切な物を使ってまで外に出る必要がないというのもわかる。
定額制のスマホで無駄に時間を使う事なく、手軽に人と知り合えるというのも合理的じゃないか。
それでも社会人の青春時代を行きつけのカウンターで楽しく過ごした僕にとっては少し寂しい世の中になりつつあるなと感じた土曜の夜だった。