ドリンクを注文する時、恥をかかないために
34歳、夢なし、趣味なし、希望なし。
僕は新卒で入社した会社が建築設備の施工管理会社だった。
配属部署は施工管理(現場監督)だが、その前に本社で社会人マナー研修、基礎研修、その後配属先で設計研修、営業研修があった。
その営業研修の時に起きた出来事。
営業部の先輩と2人で外回り。
途中でコーヒーを飲んで休憩しようという事でカフェに入った。
カウンターで先に先輩が注文。
「アメリカンSサイズで下さい」
その後僕が注文。
猫舌ではないが、僕はドリンクの熱いのはあまり好きではないので冷たいドリンクを注文。
「アメリカンのアイス下さい」
確か店員さんの表情が少し曇った覚えがある。
「・・・?アメリカンですね」
僕にはよく意味がわからなかたのでとりあえず
「ハイ」
と返事をした。
出てきたドリンクは。
ホットコーヒーやないけ!!!!
その頃はよく意味がわからなかったが、後で気付いた。
どうやら
「アメリカン=ホットーコーヒー」
らしいじゃないか。
そりゃ店員さんも困るわ。
言ってみたら僕は
「ホットコーヒーのアイス下さい」
とと言ったのと同じという事じゃないか。
恥ずかしい。
数ヶ月後、このことを友達に話すと大笑いされた。
そりゃおかしいわな。
スーツを着た大人がコーヒー飲みにカフェ入って、訳わからん事を言っているのだ。
知ったかぶって先に注文した先輩のマネをして知らない言葉を使うアホな新社会人。
普段コーヒーを飲まないから知らない。
と言った言い訳もあるが、苦しい限りだ。
店員さん対象に恥をかいた訳ではないが、最近似たような事が起きた。
職場の先輩とその友達と3人でバーに飲みに行った時。
一杯目はビールを注文。
二杯目は何にしよう。
ちなみに僕以外の2人は元バーテンダーで洋酒に詳しい。
僕はよくわからなかったので、ジントニックの気分という理由から「ジンライム」を注文。
2人は
「おお〜」
と行った反応。
その反応が僕にはさっぱりわからなかったのだ。
普通に注文しただけじゃん・・・
待つ事2、3分。
これはその時の実物ではないが、こういったドリンクとおそらくチェイサーらしき物と一緒に運ばれてきた。
ジントニックのライムバージョンがくると思っていた僕は頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになった。
イメージしていたドリンクと違う。
そんなはずはないと思ったのでついつい聞いてしまった。
「これ混ぜるんですか?」
先輩は
「・・・?いや〜ジンの銘柄も聞かずにジンライム注文するなんて通だなって思ったんだよ」
え?
これ原液やないけ!
ジンの銘柄?
種類なんてあるの?
ん?
ジンの味なんてわからんぞ。
アホか。
わからないなら注文する前に聞けよ。
心の中でそう自分で自分に言い聞かせた。
普段ビールと日本酒、有名どころのウイスキーやハイボールしか飲まないという言い訳があるが、それでも苦しい。
このご時世、スマホという便利なアイテムがあるのだから不明な点は知ったかぶりをせずに調べるべきだ。
知らないって怖い。
知らない事を知らないってもっと怖い。
更に、こういったカッコイイドリンクの飲み方を知らない僕は割とハイペースで飲み干し、ベロベロになったの言うまでもない。
10年経っても変わってない自分が恥ずかしくて仕方ない日曜日の夜だった。
そのうちいつか大怪我をする日が来るだろう。