激走!三河高原トレイルランニングレース!
34歳、夢なし、趣味なし、希望なし。
ここ2年ぐらいだろうか。
誘われて年に1、2回はハーフマラソンに参加するようになった。
ハーフマラソンなので走る距離は42キロの半分、約21キロ。
大した特技のない僕だが、学生の頃運動だけはできた。
小、中と成績優秀だったが、高校になるとテストの度に赤点祭り、授業中はほぼ全部寝るだけのただのアホに成り下がった。
しかし、体育の成績だけは下がらず、体育大会ではリレーの選手、高2のマラソン大会では走者約350人ぐらいの中、なんと11位、いや12位だったか?
入賞したのである。
おそらく帰宅部では最速だっただろう。
体育の先生も、
「お前部活してないよな?もっと早く出会ってればな」
とも言ってくれた。
(ほとんど冗談だろうが)
まあ長距離が中途半端に早くても、そんな特技は社会に出れば1円にもならないのだが。
そんな僕が約2年前に出場したハーフマラソン。
確実に過去の自分に寄り縋り、自信があったのだろう。
なんのトレーニングもせずに走ったのである。
結果。
ギリギリ2時間を切る程度の完走だった。
ナメていた。
完全にナメていた。
実際21キロなんて鬼のような距離を走るのは初めてだし、何年も走っていない。
学生の頃は帰宅部とは言えど体育の授業は受けていた。
それがどうだ。
社会人になり、日常生活で走ることなんてない。
体力云々もあるがトレーニング0で走るなんてただのアホだ。
足は痛いし途中から上がらなくなっていた。
学生の頃のイメージで大会に挑んだ僕は、自分より遥かに高齢のおじいちゃんやおばあちゃん、同年代の女性に抜かれる現実は屈辱だった。
「あれ、俺メチャクチャ遅くないか?」
こう心の中で思いながら悔しさを噛み締めて走った初のハーフマラソン。
調子に乗っていた自分が恥ずかしく、哀れだった。
2度目の参加はその屈辱を晴らすべく週3〜4回×3〜5キロ程のトレーニングを約1カ月行った。
結果、タイムは15分程伸びてリベンジを果たした。
自分の実力は初参加で把握できていたので、誰に抜かれようがなんとも思わなかった。
そして今回は初のトレイルランニングに参加。
http://tsurumaiolc.com/trail/index.html
詳細はよくわからないがとりあえず
「山を走る」
とだけ聞いていた。
ちなみに今回はトレーニング0で参加した。
理由は1つ。
暑いからトレーニングなんてしたくない。
このクソ暑いのに走るなんて無理に決まっている。
大会前日まで会場までの行き方、スタート時間等、案内状を開けてさえいなかった。
相変わらずナメている。
そんな心持ちで当日を迎えた。
大会数日前、天気予報は雨予報だったのでこの際だから
「雨よ降れ」
心の中ではそう願っていた。
ところがどうだ。
当日の朝、雨なんて降る気配がない。
とりあえず毎日8時起床のところを5時30分に起床。
まずこの時点でしんどい。
しんどさをゴマかすためにエナジードリンクを体に取り入れる。
今日は昨日コンビニで見つけたこれ。
いかにもエナジードリンク!
といったビジュアル。
うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
かなり気持ちの問題になるが、飲むと力がみなぎってくる感じがする。
確実に気持ちの持ちようなのだが。
それからウチを出て電車で約1時間。
駅に着き、バスに揺られる事70分。
愛知県三河周辺なんて全く地理感のない僕は乗車中どこにいるのかサッパリわからなかった。
田んぼの横を、それから山を登り、バスはただただ走る。
コンビニも駅から数分で見て以来、全く見当たらなかった。
この先会場に到着するとビートたけしが出てくるんじゃないのか?
そう、バトルロワイヤルの最初のシーンのような気持ちにさえなった。
無事到着。
そりゃそうだ。
到着し、受付を行う。
ゼッケンを受け取る。
あれ。
安全ピンがない。
どうやら自分で用意するようだ。
案内状に記載があったらしいがそんなもん僕が見るはずもない。
あーだこーだ騒いで、受付に行こうとすると近くにいた人が、
「これどうぞ」
とくれたのだ。
世の中捨てたもんじゃない。
いい人もいるものだ。
そう思い、忘れたはずのアホな僕がなぜかホッコリさせられたヒトトキだった。
それからウォーミングアップ中。
雨どころかメチャクチャ天気がいいじゃないか。
普段名古屋市内に住んでいる僕は大自然を目の当たりにして心が現れた瞬間だった。
到着後、待つ事約1時間半。
ついにスタートの時間となった。
過去ハーフマラソンの経験を元に、自分の弱さを熟知している。
最初は無理に飛ばさずゆっくりゆっくり。
もちろん時計なんて着けていないし適正ペースなんてわからない。
どこかでペースメーカーを探す事にした。
それっぽい格好した経験豊富でついていけそうなランナー探し。
3キロぐらい走った頃だろうか。
見つけた。
しかもリュックに鈴を着けている。
チリンチリン。
この音についていこう。
そう決めた。
それからは少し無理をしてでもなんとかついて走った。
そして事前に聞いていた事を感じる事ができた。
「マラソンとは違ってみんな歩くよ」
大して整備もされていない山を走るトレイルラン。
道もグチャグチャで道によっては1人分しかない箇所もあり、登りなんてみんな普通に歩き始めた。
僕は元々〇〇群が住所の場所で育った田舎もん。
小さい頃を思い出し、自然を感じる事により、この先の見えない長距離走を不思議と気持ちいいと思える時間を得る事ができた。
最初は
「ここから落ちたら大怪我だ」
と思っていた崖のような道もどこか楽しんでいる自分がいたようにも思える。
そんな僕だったが15キロ地点で大きな失敗を犯した。
忘れもしない15キロ付近。
いつも一杯のスポーツドリンクを、給水所で3杯ぐらいガブガブ飲んでしまった。
完全に立ち止まり、その時間も長かった。
止まった時間が長すぎて気合いと気分の良さでごまかしていた足に悲鳴があがったのだ。
足が痛いーーーー。
せっかく付いていったペースメーカーの方には到底付いていくこともできず、登り道ではない場所でも歩く事に。
あとはポイントポイント、山道の出来るだけ平坦な道のみを走る事にプランが切り替わった。
このトレイルランで感じた事。
土の上を走る事は気持ちがいい。
そしてアスファルトの上を走る事に比べ、足への負担が小さい。
そんなボロボロの中、走り始めから感じていた左足への痛みが大きくなっていた頃。
後ろから爽やかな兄ちゃんが声をかけてくれた。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます」
「この自然の中で走るのって気持ちいいですよね」
そんな他愛もない会話を少ししたが、この兄ちゃんのおかげでまた少し気持ちが良くなった。
たまたま出場したこの大会でたまたまこの場所で言葉を交わす。
悪くない。
偉そうにもそう思った。
それからまた歩くと走るを繰り返す。
あれは確か20キロ地点。
この辺りでまた自分の馬鹿さ加減に気づく。
「このトレイルラン、一体何キロ走るんだ」
そう、正確な距離を見ていなかった。
確か24キロとか25キロだったような・・・。
そう思いながら走る。
そう思いながら歩く。
「あと少し!頑張れ!」
ありがたい言葉だが足が悲鳴をあげている僕は思ってしまう。
十分頑張っている。一体ゴールはあとどのぐらいなんだ。
限界にきた頃、立っている誘導員に聞いてしまう。
「あとどのくらいですか?」
ボロボロだ。
「あと500mぐらいですよ!」
空が目に入ってくる景色以上に明るく見えた。
そこからは力の限り振り絞って激走。
と、言いたいが本当は少し歩いた。
しかし、完全に気持ちの問題だが、ゴール地点が見えてからは本当に最後の力を振り絞って走った。
ゴールした瞬間、ボロボロでまともに歩けなかったが心は澄んでいたような気がする。
普段ゴミクズのような生活を送っているこの僕がこんな気持ちになるなんて・・・。
そしてゴールしてからのビールは最高だった。
体の水分が完全に抜けており、理屈で言うとダイレクトにアルコールが回る。
すぐ酔っ払うはずなのだが、アドレナリンが出ているせいか全く酔わなかった。
また次進んで参加するかと言われると少し考えるが、以外に気持ちの良かったトレイルランだった。
「いや、絶対無理」
こんな風に思う方が多いと思うが経験の一つとして出場してみるのも悪くないと思うので、未経験の方は一度どうでしょうか?
何度も言わせていただきましたが、心が洗われるかもしれない。。。。
注:僕はMではない