小説家、朝井リョウ氏の年齢ご存知ですか?
34歳、夢なし、趣味なし、希望なし。
タイトルを見て
「アホ、そんなの知っとるわ」
と思った方々はたくさんいらっしゃるだろう。
今日、仕事中に、新聞のある一コマの見出しが目に入ってきて衝撃を受けた。
「小説家、朝井リョウ29歳」
え・・・。
29歳!?
ちょっと待て。
29歳ーーーーーーーーー!?
一瞬目を疑い、固まってしまった。
ミーハーな事で有名な僕だが(すごい狭い世界で)、「桐島、部活やめるってよ」と「何者」は両方好きな映画だ。
もちろん両作とも原作が朝井リョウという事は知っていた。
あのストーリーを創り上げた人物が現在29歳。
そんな若いなんて・・・
逆に僕に対して、
「お前朝井リョウの年齢知らんのか」
こう思っている方々はたくさんいらっしゃるだろう。
実は僕もそう思う。
何で知らなかったんだろう・・・。
そこで色々冷静になって考えてみる。
「桐島、部活やめるってよ」が新人賞を受賞した時は20歳の時じゃないか。
僕は何していただろうか。
大学生という都合のいい身分になり、バイトに遊びに生産性のない時間の使い方をしていた頃じゃないか。
いや、生産性がないのは今も同じか。
大学生の頃、雑誌のグラビアを飾るアイドルが自分より年下になり始める。
それから年を重ねるにつれ、メディアに出演する人々が年下だらけになってくる。
今となっては日本を背負って世界と戦うサッカー日本代表は全員年下だ。
気がつくと無駄に年を重ねただけの自分の人生に直面してしまう。
これからそれがもっと大きくのしかかってくるだろう。
10年後、どうなっているのだろうか・・・。
こんな事を考えたところで過去は戻ってくるはずもないので、とりあえず今できる事をするだけではあるが。
そう、僕の人生自体がとりあえずなのだ。
とりあえず。
話は朝井リョウ氏に戻すとして、映画化された2作共(まだ見ていないが今年で3作目も公開されている)、現代の若者の見えそうで隠れがちな部分をクローズアップしている。
「桐島、部活やめるってよ」は校内ヒエラルキーを中心とした生徒それぞれのアイデンティティ。
「何者」は就活を舞台とし、SNSを通した自分と他者の存在。
若い作家が書いたというのも合点がいく。
更に、僕ぐらいの年齢の人間が共感できるのも合点がいく。
あの映画を観て登場人物の中から自分がどの人物なのか当てはまった方々は多くいるであろう。
そして自分が過ごしてきた学生生活の中で、
「あ、確かにあったな」
と思えるシーンが多くあっただろう。
自分が経験したような出来事を作品にしてもらうと、自己投影ができて感情移入しやすい。
そう、バブル時代のような「理想」ではなく、「現実」をいかに忠実に再現するかが最近のトレンドなのではないかと思う。
そして、この年齢で綺麗な伏線回収ストーリーを描ける朝井リョウ氏は本当にすごいと思う。
自分で書いといて「カッコいい」、「本当にすごい」って恐ろしくアホみたいな表現だ。
どうやら僕は凡人中の凡人らしい。
いや、凡人と言うのもおこがましいか。